シリコン洗車、実際に試してみました。洗車のプロがその効果を検証!【実践編】
シリコン洗車の艶、撥水、その他の効果を実車でテストしました。
今YoutubeやSNSなどで話題になっている「シリコン洗車」。
前回の記事ではシリコーンオイルとはどういうものか、どういうメリット・デメリットが有るかなどを考察しました。
今回は実際に弊社スタッフ車両をシリコーンオイルを使用して洗車し、その効果を検証していきたいと思います。
前回の記事はこちら
今話題の「シリコン洗車」ってなに?洗車のプロが解説【リサーチ編】
シリコン洗車の施工方法
シリコン洗車の施工は、調べたところによると至って簡単なようです。
- 通常通り洗車をする
- 濡れた状態でペーパータオルやクロスなどに適量のシリコンオイルを染み込ませる
- ボディ等の塗布したい部分に塗っていく
- 乾拭きで仕上げる
濡れた状態のボディにそのまま施工できるというのは、作業性の面では良いですね。
通常ガラスコーティングなどの硬化型コーティングは、一回ボディを完全乾燥させる必要があるので手間と時間がかかります。
ボディへの施工
濡れたボディに塗布した様子です。
思ったほど水と馴染んで伸びるということはなく、水があるところにはうまく乗らない感触でした。
ワックスのようにぬるっとした感覚はなく、クロスが張り付くような引っかかるような感じで、拭くときの抵抗感は重めです。
オイルなのでもちろん水ははじくのですが、KF96は非水溶性なので水との馴染みは悪いです。
よく霧吹きで水をかけて伸ばしたり、ウエスに水を含ませて伸ばしたりしている動画や記事を見かけますが、水を使うよりは50CSより粘度の低いオイルを使用して、乾燥状態で塗布したほうが拭き残しやムラはなくなるように感じました。
機会があれば低粘度のオイルも試してみたいところです。
今回は一旦拭き上げてから、乾燥状態で塗布することにしました。
塗布後に1回軽く乾拭きをした状態です。
オイルらしい虹色の拭きムラが発生しています。
複数回にわけて、きちんと拭き取れば綺麗になります。
ただ普通のタオルやペーパータオルなどでゴシゴシとこすってしまうと間違いなく傷になりますので、マイクロファイバークロスで力をかけずに回数を重ねて拭き取るほうが良さそうです。
マイクロファイバークロスもこまめに新しい面に変えて拭き取る必要があります。
オイルが付着した面で拭いてもムラを消すことができません。
ボディの艶
ウォッシャーノズルより右側が施工済み、左側が未施工です。
正直艶という面では、そこまで大きな効果は感じませんでした。
施工した日が曇天だったこともあるかと思いますが、カルナバロウ含有量の高い高級ワックスのような深いツヤ感は得られませんでした。
ただ施工後のボディの肌触りは、オイルの割にはヌルヌル、ベトベトした感覚はなく、サラッとした良い肌触りになりました。
ボディの傷
爪傷がついている運転席ドアハンドルで試しました。
【施工前】
【施工後】
洗車キズの比較的軽微なものなどは、多少目立なくなる効果がありそうです。
木の枝などのスクラッチ傷や爪傷などと同程度の深さがある傷に対しては、少しマシになった程度の効果でした。
普段手洗いをしていて、そこまで洗車キズがついていない車両などは、シリコン洗車でも細かな傷を隠すことができそうです。
ボディの撥水性
ボディの撥水性に関しては、撥水の効果はありますが強撥水のコーティング剤のように球が流れ落ちるほどではありません。
KF96自体がストレートのシリコーンオイルで、撥水性を強化した製品ではないからだと思われます。
接触角は90°前後といったところでしょうか。
300℃程度の高温で焼付を行うと変質して強固な撥水皮膜になるそうですが、現実的ではありません。
シリコン洗車の撥水性については簡易的な撥水剤や、一般的なワックス程度の感覚です。
ボディのウォータースポット
【施工前】
【施工後】
ウォータースポットに関しては、目で見て体感できるような違いは感じられませんでした。
反応性も低く化学的に安定しているシリコーンオイルでは、固着したウォータースポットを溶かす、落とすような効果はありませんでした。
エンブレム周りや樹脂パーツの取付部の根本などに発生するスケールは、ボディ表面に付着するウォータースポットやイオンデポジットなどと似たようなもので、そこにさらに汚れが付着して溜まっているような状態です。
こういったものは専用の溶剤で化学反応を利用して除去する必要があります。
シリコン洗車ではボディのウォータースポットやスケールなどは落ちません。
ガラスの撥水
外装全体に使用可能という情報が多かったので、ガラスにも塗布してみました。
塗った感覚としては、やはり伸びづらく拭き取りが大変でした。
一般的なシリコン系ウィンドウコーティング剤のほうがムラなくきれいに仕上がると思います。
特にワイパー傷や飛び石キズがあると、その部分にシリコーンオイルが流れ込み、うっすら白く曇ったような見た目になります。
撥水効果はありますが、やはり専用品ほどではありません。
また数分間水をかけながらワイパーを作動させたところ、オイルが流れ落ちたのか撥水効果がなくなっている箇所がありました。
シリコーンオイル自体にガラスやボディにくっつこうとする接着性はないので、やはりすぐに落ちてしまうようです。
シリコン洗車のデメリットとして上げられていたワイパーのビビリや初期の視界の悪さはそこまで感じませんでした。
樹脂・ゴム の艶出し
こちらはかなりはっきりとした変化が見られました。
右側がシリコーンオイルを塗布した箇所、左側が元の色です。
こちらも乾燥状態で塗布した後に乾拭きをしました。
濡れた状態で塗布すると、上の画像のように水滴があった場所だけ馴染みが悪くムラになりました。
ゴム、樹脂共にムラなくしっかりと黒くなりました。ほぼ新品のような見た目です。
ただあまりにも劣化している箇所(表面が完全に白化しささくれだっている)では、効果は薄かったです。
プラスチックレンズ(灯火類)
【施工前】
【施工後】
ヘッドライト、テールライトなどの灯火類レンズに対しての効果は特にありませんでした。
細かな傷などについても効果は薄かったです。
変色などを起こすことはありませんでしたが、逆に黄ばみが落ちたりといった効果もありませんでした。
使用した感想
実際にシリコーンオイルを使用してシリコン洗車をしてみた感想としては、正直なところ動画やSNSで言われているほどの効果は実感できませんでした。
ボディの状態や使用方法にもよって多少の差はあると思いますが、
「そこそこ簡単に施工できて、そこそこ水を弾き、そこそこ艶が出て、そこそこ傷が目立たなくなる」
といった感想です。
よく言えばオールマイティ、悪く言えば中途半端な性能と感じました。
次の記事ではもう少し詳しくまとめを行いたいと思います。
シリコン洗車、結論が出ました。向いてる車、向いてない車をプロが見極め!【まとめ】