今話題の「シリコン洗車」ってなに?洗車のプロが解説【リサーチ編】
シリコンスプレーで簡単コーティング?話題の「シリコン洗車」を洗車のプロが解説します!
最近Youtubeで見かける「シリコン洗車」というワード。
これまで培ってきたノウハウと、自社の洗車道具、溶剤に自信を持っているJAPAN GOLD WASHですが、新しい情報には興味がわきます。
ということで、シリコン洗車についてリサーチ、実験をしてみることにしました。
まずはリサーチとしてどんなものなのかを調べてみました。
そもそも「シリコン洗車」って?
これまでリサーチしたところによると、シリコン洗車とは
- シリコンスプレーを使用した洗車
- 洗車後、拭き上げの際にシリコンスプレーを噴霧して拭き上げる
- シリコンの層を育てる(?)ためにこまめにシリコン洗車を行う
というものらしいです。
シリコンはたしかにボディーのコーティング剤の主成分として有名ですが、そのオイルをそのままボディに塗布するというのが果たして本当にいい効果があるのかは疑問です。
しかしネット上では絶賛されているようなので改めてリサーチ、検証をしてみたいと思います。
ちなみにメーカー公式ページによると、「シリコン」と「シリコーン」は異なるものだそうです。
「シリコン」とはケイ素という元素の名称であり、その化合物が「シリコーン」になります。
なので、正式には「シリコーン洗車」が正しい呼び方になりますが、ここでは一般的な「シリコン洗車」という言葉を使っていきます。
出典:信越化学工業「シリコーンとは」
https://www.silicone.jp/info/begin1.shtml
シリコン洗車のメリット
メリットとしては以下のようなものがあるようです。
- シリコンスプレーがホームセンター等で安価に手に入る
- 濡れたような艶が蘇る
- 撥水効果が高い
- 施工が簡単で塗りムラになりづらい
- 細かな傷(洗車キズ、スクラッチ傷)が消える
- 未塗装樹脂やゴムの白化を抑え黒い艶がでる
- ガラス、プラスチック、メッキなどボディ全てに使える
メリットを見るとコストパフォーマンスに優れ、かつ綺麗になる素晴らしい洗車方法であるようです。
シリコン洗車のデメリット
デメリットについては、調べた限りではあまり多くなく
- オイルなので埃や花粉が付着しやすい
- ガラスに塗った初期は馴染んでいないと視界が悪い
- 拭き取りが十分でないとムラが発生する
などの情報がありました。
埃や花粉の付着はボディにとって悪影響がありますし、ガラスの視界不良も安全運転に悪影響を与えることになるので、実際に試して確認していきたいと思います。
シリコン洗車の疑問点
シリコン洗車について色々調べたり動画を見たりする中で、気になったことが3点あります。
①ペーパータオル、ウエス、軍手等で塗布している
これは単純に洗車キズになってしまうのでは?と思います。
ただシリコンそのものの問題ではないので、良いクロスを使えばその問題は解消できそうです。
②シリコンオイル自体が自動車のボディ用として販売されているものではない
多くの動画で信越シリコーン製のオイルを使用しています。
一部の方はKUREのシリコンオイルを使っていたりもします。
どちらももともと工業用で、自動車のボディ用に開発された製品ではありません。
塗装に対する影響を十分にメーカーが検証しているかは不明です。
③液体のオイルで傷が消えることがあるのか?
シリコンオイルはあくまでオイルなので、研磨作用等は無いはずです。
また硬化するような組成のものでもないので、ガラスコーティングなどのように傷を埋めて均すような効果もないと思われます。
しかし動画などではかなり多くの方がその効果を実感しているようです。
シリコーンオイルについて
信越化学工業のHPに、シリコーンオイルの性能表が掲載されています。
https://www.silicone.jp/catalog/pdf/kf96_j.pdf
シリコーンとはケイ素の化合物で、有機と無機を兼ね備えた性質を持つ合成樹脂。
これが液状になっているものをシリコーンオイルと呼びます。
合成の仕方や合成される他の物質によりその特性は様々ですが、洗車において特に重要になりそうなのはこの4点です。
・化学的安定性
・生理的不活性
・他材質への非影響性
・撥水性
化学的安定性
シリコーンオイルは化学的安定性が高く、低濃度の酸やアルカリとは反応しないとのこと。
自動車用の洗剤やクリーナーには酸性やアルカリ性のものもありますが、シリコーンオイルが塗布されている状態でそういった溶剤を使用しても問題はなさそうです。
生理的不活性
シリコーンオイル自体は化粧品や医薬品にも使用されていて、触れたり飲み込んでしまったりしても人体に悪影響を与えることは殆どないそうです。
※KF96自体は医療用ではなく工業用です。
他材質への非影響性
金属やガラスはもちろん、ゴムやプラスチックなどあらゆる材質に対して影響が少ないというデータがあります。
一部相性の悪いゴムでは膨潤してしまうものもありますが、一般的に自動車に使用されている素材については問題ないと思われます。
疑問点の2で、ボディに対する影響の懸念がありましたが、このデータを見る限りは問題なさそうです。
撥水性
データ上では接触角90°~110°と強力な撥水作用を持っているようです。
高級ワックスに使用されているカルナバロウに匹敵する接触角です。
最近の高性能な強撥水コーティングは120°~150°程度の接触角を持つものもあるので、それには劣る性能になるかと思われます。
全体的に調べた印象としては悪いものではなさそうです。
次回の記事では実際にシリコン洗車を実施して検証してみたいと思います。